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頻発する盗撮の状況 – 書店での盗撮

頻発する盗撮の状況

弊所がご相談や弁護のご依頼をいただく盗撮事件、ニュース等で取り上げられる盗撮事件において、よく見られる盗撮の状況を紹介します。似た状況で盗撮を行い、警察に逮捕・検挙されてしまった方やそのご家族の方は、お一人で悩みを抱えず、盗撮事件に強い弊所、アトム法律事務所の弁護士にご相談下さい。

書店での盗撮

書店での盗撮事件の事例

書店で女子高生を盗撮 作業療法士を逮捕

書店で女子高校生のスカート内を盗撮しようとしたとして、29歳の男が逮捕されました。北海道迷惑行為防止条例違反の現行犯で逮捕されたのは、北海道釧路市に住む作業療法士の29歳の男です。男は釧路市内の書店で本棚を見ていた女子高校生のスカート内に後ろからスマートフォンを差し入れ盗撮しようとし、書店の警備員に逮捕されました。警察によりますと盗撮行為に女子高校生が気付き、その場から逃走した男を警備員が追いかけて駐車場で確保。「盗撮した男を確保しました」などとの警察への通報で、事件が発覚しました。警察は男の認否を明らかにしておらず、余罪の有無など詳しく調べることにしています。
(FNNプライムオンライン 2021年)

女子高生を書店で盗撮 小学校教諭を懲戒処分

県教委は、女性のスカートの中を盗撮したとして盛岡教育事務所管内の小学校男性教諭(46)を減給5カ月(10分の1)の懲戒処分とした。本人からの辞職願を同日付で受理した。県教委によると、男性教諭は、盛岡市の盛岡駅ビル内の書店で、スマートフォンで女性のスカートの中を盗撮した。同ビルを利用した際に警察から声を掛けられ、内容を認めた。県教委の聴取に対し、2018年から複数回の盗撮を認めている。
(岩手日報 2021年)

しょがみこんだところを店員が発見し現行犯逮捕

太田署は、書店で女性を盗撮したとして、県迷惑防止条例違反の疑いで、太田市の会社員、X容疑者(20)を現行犯逮捕した。容疑を認め「以前、盗撮に成功し、安易に盗撮してしまった」と供述している。逮捕容疑は同市内の書店で、栃木県足利市の女性(25)のスカート内を背後からスマートフォンで撮影したなどとしている。同署によると、しゃがみ込み、撮影しようとしたX容疑者を店員が発見し、その場で取り押さえたという。
(産経新聞 2017年)

書店での盗撮の違法性

書店での盗撮は、各県が定める迷惑防止条例に違反します。
ここでは、愛知県迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)に基づいて、ご説明します。

(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
第二条の二 

何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

二 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。

三 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。

四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。

2 何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

一 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。

二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。

3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

一 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。

二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。

上記にいう「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。)をいい、「公共の乗物」とは、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物をいいます。書店も不特定多数の者が自由に出入りできる施設であるため、公共の場所にあたります。
書店での盗撮で多いのは、女性のスカートの中にスマートフォン等を差入れ、又は、上が映るようにしたカメラ等の入ったカバン等を女性のスカートの下に置いて、下着等の撮影をするというものですが、見知らぬ男性に、自分の極めてプライベートな部分を密かに撮影されるということは、これを知った女性を極めて強く羞恥させ、不安を覚えさせる行為といえます。

書店での盗撮事件の裁判例

神戸地方裁判所平成25年(わ)第328号

(事案の概要)
被告人が常習として、神戸市内の書店において被害女性B(24)に対し、スカート内を盗撮する目的で、その背後から合計2回にわたり同女のスカート裾下に動画撮影状態にした携帯電話機を差入れたという事案。
(結果)
被告人を懲役8月に処する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。
(量刑理由)
同種盗撮により執行猶予中の身であること、盗撮や盗撮目的の住居侵入で罰金刑2度・科料度の前科があり常習性が顕著であること、被害者の処罰感情が厳しいこと、犯行が短時間・単純・稚拙であること、白血病で服役に耐えられない可能性があること、親の監督が期待できること、心療内科への通院を継続する旨述べていること。

盗撮事件が書店で頻発する背景

書店は、盗撮事件が多く生じている場所です。警察庁が令和二年に公表した警察白書によると令和元年の盗撮の摘発件数は3,953件で、そのうち書店・レンタルビデオ店での盗撮は206件に上ります。この数字は、駅・電車(1位)、ショッピングモール(2位)に続く3位のものとなっています。
書店で盗撮事件が起こりやすいのは、どうしてでしょうか(1)加害者・被害者となり得る人が多い、(2)盗撮の機会が生じやすい、(3)盗撮の手段となる道具を用いやすい、(4)盗撮をしていることが気付かれにくい場所という4点から検討してみましょう。

(1) 加害者・被害者となり得る人が多い場所

当然のことのようですが、盗撮事件が生じるのは、盗撮を行う男性と盗撮の対象となる女性がいる場所です。男性と女性がいない場所では盗撮事件は起きません。逆に、盗撮の潜在的な加害者となる男性と被害者となる女性が多く集まる場所では、人の少ない場所よりも相対的に盗撮事件が生じやすくなります。
一般的な書店は、幼児向けの児童書、学習参考書、ビジネス本、趣味の本、雑誌、マンガなど、子供向けからお年寄り向けのものまで、幅広い年齢層向けの書籍を取り揃えています。また、基本的に本は読み手の性別や職業を問いません。そのため、幅広い年齢層の男性・女性が書店を訪れることになります。
立地も重要です。書店は駅ビルや駅周辺、繁華街などに店舗を置くことが多く、それゆえに不特定多数の男性・女性が訪れやすい環境にあることが多いといえます。

(2) 駅は盗撮の機会が生じやすい場所

平成23年の警察庁の発表によると平成22年の盗撮の摘発件数は1,741件で、そのうちの98%に当たる1,702件が「下着などの盗撮」でした。平成25年の警察白書には盗撮された部位に関する統計は掲載されていませんが、下着など、スカートの下から密かに撮影がされているケースが多いと考えられます。
書店にいる女性は、盗撮がしやすい状態にあるといえます。書籍を読む際には、①書棚に向かい、通路を背にすることが一般的なため、背後に立ちやすいこと、②動きが少ないこと、③内容に集中するため周囲への注意が散漫になりやすいこと、がいえるためです。また、目的の本を探して歩き回る行為と盗撮の対象を探す行為とが外見上区別がつきにくいため、犯行がやりやすいと考える男性もいると思われます。

(3) 書店は盗撮の手段となる道具を用いやすい場所

前述の通り、書店は、女性が通路側に背中を向けて、数分から数十分間、本に集中した状態で静止しているという環境があります。そのため、背後・左右への注意が散漫になっており、盗撮されていてもこれに気が付くにくい状態にあります。
また、周囲の人間も、書籍を探している者以外は、男性・女性とも自分の読んでいる書籍に集中しており、他人が何をしているか、されているか把握しにくい状態にあります。一般的に本棚には背丈が高いものを用い、他の書棚との間隔を詰めて設置するため、見通しがあまりよくないこと、従業員が多い店舗でなければ店員はレジで待機していることが多いのもこれらの点を強める要因です。
さらに、書店では、探している本が配置してあった書棚の前に立って内容を確認するのが一般的であるため、空いている店内で、女性の隣や背後に(背中向きで)立ったとしてもさほど不自然ではない環境といえます。

(4) 書店は盗撮をしていることが気付かれにくい場所

前述の通り、書店は男性女性とも周囲への注意差が散漫になっており、盗撮に気が付きにくい場所の一つになっていると言えます。また、人員に余裕がない一般の書店の店員はレジにいることが多く、頻繁な見回りを行わない傾向があります。そのため、スタッフによる発見の機会も少ないといえます。
犯罪学上、「自分の行動が他人に見られているかもしれない」と感じさせることは、人を犯罪から遠ざける、抑止のための有力な方策とされています。しかし、書店は、被害者や周囲の人が盗撮に気付きにくい環境であるため、この抑止の力が働きにくいのです。これも盗撮が書店で頻発する一つの理由です。


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